日韓の文系論文を読む人

読んだそばから忘れるので……

前にくっつく動詞に注目して「ー고」と「ー어서」の違いを覚えてみよう /韓国語教育のための継起の連結語尾の‘-고’と '어서'の教育法研究

 

文法の迷子

初級で習う、動詞-고と動詞어서の文法をしている韓国語学習者は多いと思います。しかし、両方とも前後の順序を示す表現であるため、どちらを使うべきか混乱しやすい文法でもあります。

 

今回は、この2つの文法をどうすれば分かりやすく学習者に教えられて、使い分ける時の覚えやすいコツはないか模索した論文を共有します。

 

共有する論文:パク・ジヨン「韓国語教育のための継起の連結語尾の‘-고’と '어서'の教育法研究:意味・構文的特徴、並びに結合する特徴動詞を中心に」

 

連結する動詞に着目する

韓国語の初級で習う、「하고」と「해서」のような文法は、前の節の事態が発生した後、後ろの節の事態が立て続けに発生するという意味機能が、共通しているため、この2種類の文法は、学習者が間違えやすい文法といえます。


この論文は、2つの文法に共通する前後の節が引き続いて起こることを示す機能に限定して調べました。目的として、韓国語の初級学習者がよく間違える継起の連結語尾「ー고」と 「ー어서」を区分するため、意味的な違いだけでなく、それぞれの特徴の違い、それからそれぞれ結びつく動詞についての効果的に区分できる方法を活用するところにあります。

 

まず、2つの文法の特徴の違いを整理すると以下の通りです

 

「ー고」の特徴
接続文が継起の意味機能をするためには、「ー고」び前の動詞が非持続性を持たなければならない。

「ー어서」の特徴
前の節と後ろの節が意味的に緊密な関連性を持ちながら、継起の意味を表す時に「ー어서」が使用される。

 

しかしながら、意味的基準を根拠に学習者へ提示した場合、彼らが間違って文章を作ってしまう時の動詞が共通していることが分かりました。例えば、타다(乗る),입다(着る),모자를 쓰다(帽子をかぶる),일어나다(起きる)などの動詞でした。このミスの原因は、一般的な認知作用によって関連性があると考えられる前の節と後ろの節を、この認知作用を無視して区分することになるためだと考えられます。

 

この問題を解決するために、「ー고」に繋がる特定の動詞と「ー어서」に繋がる特定の動詞を目録化して、学習者がこれを活用する際に気を付けるように強調する必要があると、筆者は主張します。

 

初級学習者が必要な特定の動詞の目録化の例は、以下の通りです。

 

「ー고」に連結する特定の動詞
타다(乗る), 모자를 쓰다(帽子をかぶる), 안경을 끼다(眼鏡をかける), 옷을 입다/벗다(服を着る/脱ぐ) 等

「ー어서」に連結する特定の動詞
일어나다(起きる), 나가다(出ていく), 가다(行く),오다(来る) 等

 

筆者は、このようにそれぞれ「ー고」に繋がる動詞と「ー어서」に繋がる動詞を提示する方法が効果的であるとしています。特に「ー어서」に繋がる動詞より、「ー고」に繋がる動詞は、身体に身につける動詞が多く該当することが分かります。そのため、「ー고」に繋がる動詞の方を強調して提示することが望ましいとしています。

 

このように、論文では「ー고」に繋がる動詞の方を初級段階で覚えられるように強調して指導するべきだとし、この「ー고」と連結する動詞の特徴を分析して韓国語学習に活用する必要があると結論を出しました。

 

進級しても難しい文法の使い分け

私もこの2つの文法で迷うことがよくあるくらい、日本語訳で考えるとややこしい文法だと思います。特に、語彙が一気に増えた中級クラスで勉強していた時によく間違えて直されていました。

 

語学堂では、連続性の違いで説明を受けましたが、当時はいまいち分かったような分からないような感じで、なんとなくで使い分けていました。たくさん文章を読んでパターンが掴めた上級レベルのクラスに入った時に、添削されることがかなり減りました。そのくらい外国語学習者として、最初に習ってから慣れるまでに時間のかかる文法です。

 

論文が提示したように、どちらかにしかくっつかない動詞があるなら最初は丸覚えしたほうが学習の負担も減るし、その動詞の違いを通して、文法にも慣れやすいと思います。そうすれば、中級クラスで語彙が増えた時にもどっちが適切なのか考えて使い分けることができます。

 

学習者にとって、なんだかよく分からないまま間違いを指摘され続けるのはつらいので、このような一旦丸覚えしやすい規則が共有されることを期待します。

 

参考論文

パク・ジヨン「韓国語教育のための継起の連結語尾の‘-고’と '어서'の教育法研究:意味・構文的特徴、並びに結合する特徴動詞を中心に」『言語科学研究』第78集、言語科学会、2016年、pp.169-187

박지영  「한국어 교육을 위한 계기의 연결어미 '-고'와 '-어서'의 교육방법 연구: 의미 통사적 특징 및 결합하는 특징 동사를 중심으로 」『언어과학연구』 제 78집,언어과학회 ,2016년, pp.169-187

 

www.kci.go.kr

2021年12月29日note記事を修正、再投稿.