これまでの韓国のキャラクター産業は何が足りなかったのか /日本アニメに関して
キャラクター産業も韓流の波に乗れるか
いまでこそ、カカオフレンズをはじめとしたキャラクターたちも韓流の人気とともに韓国のキャラクターとして有名になりましたが、以前は韓国内ですら、韓国のキャラクターに人気が無く、その代わりに日本のキャラクターだという意識がないまま、日本のキャラクターが受け入れられた時代がありました。
今回は、やや古い論文になりますが、このような時代に韓国産のキャラクターが発展していくためにはどうするべきかを日本のキャラクター産業からヒントを得ようとした論文を共有します。
共有する論文:イ・ジョンスク「日本アニメに関して―日本アニメの成立とキャラクター産業を中心に―」
アニメとマンガの関係性
この論文は、「日本アニメは暴力的で扇動的」という特徴から距離を置いて、日本アニメを日本文化の側面からアプローチし、客観的立場で見ていくことを目的としています。
論文は以下4つの内容を取り上げました
韓国において、日本マンガは1960年代初めから韓国市場に流入され、全体の7割を日本マンガが占めるようになりました。また「セーラームーン」の流行にみられるように、日本アニメも多く放映されています。
しかしながら問題は、実際に日本のマンガやアニメに触れている子どもたちは、それらが日本製だと言うことを知らないという点です。学校で反日感情を教えられながら、日本のマンガやアニメの主人公に没入することになるのは、子どもたちたちに大きな混乱を起こすでしょう。
筆者は、そうではなく、日本のマンガを日本文化の理解に利用する道はないのだろうか、と提案しました。
マンガ、アニメと関連して、韓国におけるキャラクター産業は、映画製作社をはじめ国内のキャラクター製作に関心を寄せていることが分かります。しかしながら、韓国独自のキャラクターは全体の5%でしかなく、それも日本やアメリカのキャラクターをパクったような水準になっており、決して韓国のキャラクター産業の発展を期待できるようなレベルとはいえない現状です。
これから発展をしていくためには、まずキャラクターそのものではなく、マンガや映画、イベント産業の発展に力を注ぐことを優先すべきといえます。日本のマンガとアニメの発展において、手塚治虫が行ったように、長編アニメの製作と放送という基礎を無くしてキャラクター産業の発展は難しいだろうと考えられます。
まず、マンガは暴力的だという発想の転換が最初の課題です。筆者は、韓国アニメだけの固有の色は無いが、後発になるというハンディキャップと、すでにアメリカと日本が積み上げた良い技術をしっかり利用したら、将来、韓国だけの固有の色を作られる可能性と能力は十分にあると考えます。
筆者は結論として、日本が西洋と競い合えるまで文化的発展をしたように、日本のマンガ、アニメは、韓国にとって文化の港としての道を開く最初の媒体になることを願うとしました。
この研究の至らなかったこととして、筆者は以下の3点を挙げました。
ウェブトゥーンのドラマ化
結果論として考えると、韓国のマンガを代表するウェブトゥーンは、アニメ化よりも実写化を積極的にやっているように見えます。なので、論文の主張のように、マンガとアニメの連結からのメディアミックスにはなっていないといえるでしょう。
別の論文ですが、ウェブトゥーンは日本の雑誌マンガと違い、フルカラーで動きのある演出をつけることも可能であるため、アニメ化させる強みがないというような指摘もあります。デジタル媒体で書いてデジタル媒体で読まれるため、紙媒体に比べて様々な演出で没入感をだそうとしているのだと思います。
そうなると、マンガはアニメっぽく、アニメは実写っぽくなっていくのではないかなと思います。
参考論文
イ・ジョンスク「日本アニメに関して―日本アニメの成立過程とキャラクター産業を中心に―」『日本学論集』15巻、日本学研究会、2002年、pp.35-54
이정숙 「일본 애니메이션에 관하여 ―일본 애니메이션의 성립과정과 캐릭터산업을 중심으로―」 『일본학논집 』Vol.15,일본학연구회,2002년,pp.35-54
2021年12月29日note記事を修正、再投稿.
*1:p.37