韓国語のオノマトペに特化した教材が必要な理由と開発の方向性について/韓国語擬声語・擬態語教材開発のための基礎研究
目次
文化的特徴が強い語彙
韓国語学習の中で覚えるのが難しい単語が、音や様子を表現したオノマトペに関する語彙だと思います。日本語もオノマトペに関する語彙が多いものの、文化的な違いから単純に1対1で翻訳できるとも限りません。また、辞書で意味を調べてもピンと来づらいのもオノマトペの難しさです。
今回は、オノマトペの語彙専門の教材を開発するために、これまでの韓国語教育の問題点と開発の方向性を模索した論文を紹介します。
共有する論文:ベ・ドヨン「韓国語擬声語・擬態語教材開発のための基礎研究」
専用教材をデザインしてみる
この研究の目的は、韓国語のオノマトペ教材開発のための基礎研究として、教材用オノマトペの単語目録と教材モデルを提示することです。そのため、基礎研究の単語目録の設定をした後、それが学習者へどのように教えられ、どんな成果を出したのかといった検証過程が必要になります。
既存の韓国語教材と韓国語能力試験(TOPIK)を分析することで次のようなオノマトペ教育に関する問題点が見つかりました。
このような問題点を踏まえ、教材開発の方向性として以下のことを考慮する必要があるといえます。
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語彙目録の出現頻度を考慮した学習段階
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簡単で簡潔な表題語の定義
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独学の学習者
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「オノマトペ+述語」の連語形
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実際の使用脈絡
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学習者中心の学習
その後、論文はオノマトペ137語を目録化し、教材モデルを設計しました。
最後に論文の筆者は、今回の研究で設計した教材モデルが実際の授業で用いての検証過程を経なかったことを至らなかった点とし、実際に教材を作って現場で使ってみて、不備を補うことを今後の課題としました。
教材を批判的に見ながら選んでいく
試験で出題される量は多くありませんが、中級から特に上級レベルで一気に覚えないといけない単語量が増えたような気がします。中級の後半から会話文だけでなく物語文が多くなるからだと思います。
個人的に今回の論文で、教材とTOPIKの出題される単語があっていない点が意外でした。学習者にとって、TOPIKは優先的に覚えないといけない項目になります。試験が全部ではありませんが、韓国語を学ぶ上で自分がどこまで達成したのかを自他ともに確認できる基本的な基準です。だから、韓国語を使って何かやりたいという目的や目標がある人ほど、まずはTOPIKに合わせた勉強をしますし、大手の教材もそうだと思っていました。
語学堂に通いながら勉強している時は意識したことがなかったけれど、調べてみると、思っていたよりも教材は得意不得意の学習項目をもっていることが分かりました。そのため、必要に応じてどんな副教材を選ぶといいのかを学習者はチェックしていくことが重要なのではないでしょうか。
参照論文
ベ・ドヨン「韓国語擬声語・擬態語教材開発のための基礎研究」『韓国語研究』no.32、韓国語学会、2013年、pp. 159-184
배도용「한국어 의성어·의태어 교재 개발을 위한 기초 연구」『우리말연구』no.32 , 우리말학회, 2013년, pp. 159-184
2022年2月3日note記事を修正、再投稿.
*1:pp.166-167