ネイティブのように韓国語を話すために必要な韓国文化の知識をどのように学習するか /韓国語の言語文化教育に関する一考察
韓国人らしく話すとは
言葉は人々の生活や考え方と密接につながっています。だから、外国語学習は文法を覚えたら、単語を覚えたら終わりではありません。むしろ、習えば習うほど、知っている単語や文法であるにもかかわらず、自分が理解している使い方と違う表現に遭遇するようになります。
しかしながら、このような辞書に載っていない表現であるほど、上級レベルの学習者にとって知りたい知識であり、実際に韓国人と仲良くなって韓国社会に溶け込むために欠かせない知識です。
今回は、韓国語学習において、このような文化面を学ぶ必要性を考えた論文を紹介します。
共有する論文:呉 香善 「韓国語の言語文化教育に関する一考察 : 言語文化教育の必要性と現状」
辞書的な意味から抜け出して
この論文は、学習者がより効果的に言語を習得できるようにするために、言語文化を活用した韓国語教育の方法論が求められている現状において、言語文化教育の必要性とその現状と問題について考察しています。「言語文化」は、文法と語彙の要素だけでなく、歴史知識や地域、文化の情報、習慣や行動など、様々な文化情報を含んでいることを意味します。
言語と文化は密接に関係しているので、学習者はその言語に表れる文化を知らなければ、本当にその言語を理解することができません。
例えば、韓国語の‘밥’は、ご飯や飯といった意味だけでなく、あいさつや分け前、仕事などの表現する単語としても使われます。これらを理解するためには、韓国の食文化が米を中心にしていることを理解する必要があります。
このように、円滑にコミュニケーションをするためには、以下の文化的・歴史的脈絡の知識が要ります。
論文は、韓国語教育において、変化が激しい社会に対応できる言語文化教育の必要性を以下の整理しました。
論文の筆者は、このように言語文化教育の必要性が高まっているにも関わらず、十分に現場へ反映されない問題点として主に2つ挙げました。
ひとつが、6級制度と7級制度でレベルがズレているといった教育体系に関する問題、
もうひとつが、教員の不安定勤務条件に関する問題です。
最後に、実際に現場で使えるような教授法まで研究が至らなかったとし、今回の研究のような言語文化に関する語彙を取り入れた韓国語中級テキストを完成させることを最終的な目標と今後の課題としました。
より深い理解を求めて
韓国語教育では、韓流をはじめとした大衆文化への興味や大学進学、結婚移住などをきっかけに韓国語を学び始める人の背景が多様化しているといいます。韓国語学習が一段落して、韓国社会に馴染もうとする時に少しでもストレスを減らそうと、文化面の授業に対する需要が高まっているそうです。
個人的に、文化背景を知っていないと困る語彙は名詞が多い気がします。物の名前はもちろんですが、日本に無いので日本語訳で覚えることができない難しさがあります。
例えば、慣用表現や連語も、日本語訳を通さずにそのまま丸覚えするしかありません。
丸暗記でもなんとか覚えて、テストで答えることはできますが、自分の表現力を広げるように使いこなすようになるのは時間がかかります。こういう時に手助けしてくれるのが文化理解です。
ただの音や文字を生活する人たちやストーリーを感じさせるものにしてくれ、その言葉と少しだけでも仲良くなれた気にしてくれることが、外国語学習で文化も一緒に学ぶ意義じゃないかなと思います。
参照論文
呉 香善 「韓国語の言語文化教育に関する一考察 : 言語文化教育の必要性と現状」『下関市立大学論集』58(2)、下関市立大学学会、 2014年、pp.131-140
2022年1月29日note記事を修正、再投稿.