韓国文学で自分探しをしてみる/外国人留学生の韓国語で文学する
目次
自由に読んでみる
韓国語がある程度にできるようになっても、韓国語で韓国の小説や詩を読むことはなかなか難しいことです。どうしても、学習者にとってハードルが高くなるだけでなく、「韓国語を勉強するための」読書になりがちだと思います。
今回は、一旦「課題として韓国文学」から距離を置いて、個人的な「読書」として韓国文学を鑑賞する授業を行ってみた論文を紹介します。
共有する論文:パク・ジヘ「外国人留学生の韓国語で文学する:‘韓国語翻訳と作文’授業事例を中心に」
自分自身と作品との関係に集中
この論文は、韓国外国語大学KFL学部で韓国語翻訳と作文の授業で行われた「韓国語を文学する」活動を通じて、外国人留学生と韓国文学との関係を再設定するところに力添えしようとしました。この研究の対象者になるKFL学部は、2019年に新設された外国人専門の学部です。
この学部は以下の2つの専攻を運営しています。
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韓国語教育専攻...海外の現地韓国語教員養成を目的とする
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韓国語通訳翻訳専攻...外国人韓国語通訳翻訳の人材養成を目的とする
この学部で行われた授業は、「韓国語を文学する」をテーマに3週間実施されました。
学生たちが主体的に韓国文学を読んで楽しむところに学習目標があります。また論文は、読書としての韓国文学の効用性とその意味に焦点を当てようとしました。
論文の筆者は、外国人留学生にとって韓国文学をしっかり解釈するべき課題ではなく、言語芸術としての文学として楽しみ、自分の人生に対しての意味になる仲立ちをするとしました。
この授業における「韓国語で文学する」とは、韓国文学を読むー韓国語の文学的感受性に対して享受するー文学的作文活動の間の連携のことを意味します。つまり、自分自身と韓国文学との関係にだけ集中することが活動の目的になります。
具体的な授業の構成は次の通りです。
他に、以下の基準に合わせて学生に提供する詩を選定しました。
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特定の社会、文化、歴史的脈絡を前提にしない作品
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言語芸術といく文学の特性が反映された作品
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人間の普遍的な情緒を扱い、学生が物語の世界に自由に入れる作品
論文の筆者は、この活動を通して以下のように主張しました。
そして、このような韓国文学を通して自分自身を探していく活動は、韓国語学習の動機や目標付与の側面への対案のひとつになることができると、期待を示しました。
韓国語の勉強や課題はたくさんしたけれど
そういえば、私も授業で小説を読んだり翻訳したりしたことは何度かありますが、個人的な読書として本を読んだことはあまりないなと気づきました。正直、韓国語の学習として内容を理解しなきゃと思いながら読むものの、内容を楽しもうと思って韓国語の小説を読んだことはまだありません。
日本の小説や詩を読んでいた時を思い出すと、内容を全部理解しきったことなんて全く無いなと感じます。だから、外国語である韓国語の小説の内容を理解しきろうとしも無理な話で、鑑賞は分からない部分も含めているのだと思います。
そう思うと、私は韓国語の勉強はたくさんしたけれど、まだまだ韓国語を通して何かを深く楽しんだり考えたりすることができてなくてもったいないと、改めて感じました。
参照論文
パク・ジヘ「外国人留学生の韓国語で文学する:‘韓国語翻訳と作文’授業事例を中心に」『東西比較文学ジャーナル』第55号、韓国東西比較文学学会、2021年、pp.143-165
박지해 「외국인 유학생의 한국어로 문학하기: ‘한국어번역과 글쓰기’ 수업 사례를 중심으로」『동서비교문학저널』제55호,한국동서비교문학학회,2021년, pp.143 - 165
2022年1月14日note記事を修正、再投稿.